すっと体を屈め、あたしの顔をのぞきこんでくる那智。
まっすぐな視線に、少しひるんでいると――
「“藍ちゃん、梅ジュース作ったから飲むぅ?”」
「……は!?」
何を思ったのか那智はいきなり、声色を変えてそんなことを言い出した。
「な、何」
「オカンのまね」
似てるやろ? と、シレッと抜かす那智に、あたしは思わず吹き出してしまう。
そんなあたしの前で、彼はさらに。
「お前のオトンのまねもできるぞ。
“那智くんは本当に絵がうまいな~。おじさん、サインもらっとこうかな~”」
「ちょ、やめっ、お腹痛いっ」
ケラケラ笑うあたしの頭に、
ぽん、と那智の手の平がのった。