――『お前ってさぁ 俺のこと大好きやろ?』 あの一件で、あたしの気持ちは丸裸にされて。 そしてたぶん、うぬぼれじゃなければ、那智も少しは同じ気持ちでいてくれていて。 ――『お前みたいな女、絶対、姉にしたくないわ』 涙で顔がぐしゃぐしゃになるくらい嬉しかった。 あたしの完敗。 だけど那智が相手なら、負かされることも悦びになる。 帰宅すると玄関に那智のスニーカーがあった。 めずらしい……いつもは遊び歩いて帰りが遅いのに。 あたしは嬉しくなって、いそいそと靴を脱いだ。