「ホントにホントに、ごめんなさい!」
美術室の一件から3日後。
あたしは隣のクラスに出向き、熊野くんに頭を下げた。
本当なら翌日すぐに謝るべきだったけど、熊野くんが欠席で。今日やっと登校してきたのだ。
「別にケガしたわけじゃないし、そんなにあやまらないで」
熊野くんの笑顔は今日も紳士的。
だけど、明らかに引きつっている。
「ていうか桃崎さんこそ、大丈夫? 台から落ちたとき、ひざ打ってなかったっけ?」
「あ、うん……平気」
ばんそうこうの下の赤い傷を思い出し、あたしの心臓が、キュッと高く鳴った。
那智の唇が触れた傷。
一生、治らなければいい。