「うん。まだ籍は入ってないから、正式には弟じゃないけどね」 まぁそれも時間の問題だけど。と、心の中でつぶやいた。 2年の転校生――“神木那智”。 この春うちの中学に転入してきたばかりの、ひとつ年下の男の子。 彼はもうすぐ あたしと同じ苗字になる。 「桃崎さん、いいよね~。お父さんの再婚のおかげで、あんなキレイな子が弟になるなんて。ホントうらやましい」 無邪気すぎるそのセリフに、あたしは苦笑が隠せなくなった。 うらやましい? だったら代わってよ。 あんたが那智の姉になればいいじゃない。