乱暴に扉を閉める音と、そして鍵をかける音が同時に響く。
あたしの中にわずかに残っていた冷静さを、その音が完全に打ち砕く。
「出してよっ!」
金切り声で叫んでドアノブに手を伸ばすと、那智はあたしの肩をつかみ軽々と突き飛ばした。
木製の棚に、あたしは背中を強くぶつけた。
だけど錯乱しているせいか痛みは感じない。
せっかく整理した画材が、ガシャガシャと耳障りな音をたてて散らばっていく。
「大丈夫!?」
ドアの向こうから聞こえる心配そうな声。
那智は気にも留めず、あたしの方へと足を進めてくる。
「来んなっ!」
あたしは叫びながら、後ろの棚から手当たり次第に、画材をつかんで投げつけた。
「口悪いなぁ、お前」
物が当たるたび、那智はうざったそうに顔をしかめるけど、足を止めることはなかった。