木製の台に乗って、一番上の棚まで手を伸ばす。
少し古くなっているのか、台の足がグラグラした。
「危ないな。代わろうか?」
「大丈夫だってば」
「桃崎さんって、案外ガンコなんだなぁ」
下から聞こえる熊野くんの声に、クスッと笑いが混じった。
そして。
「……あのさ、桃崎さん」
「ん?」
「どさくさにまぎれて、変なこと聞いていいかな?
今、付き合ってる人とかいる?」
「……」
あたしは整理する手を止めて、視線を彼の方に落とした。
「……いない、けど」
「じゃあ――」
「あたし男の人が嫌いなの」
とっさに出た言葉に、熊野くんがビックリした表情。
あぁ、変なこと言っちゃった。もっとマシな言い訳があるだろ、あたし。