あたしたちが歩んだ
遠回りで不器用な、恋の物語。
その最後に。すごくビックリした話をしようと思う。
那智が退院の日を迎えたのは、それから20日後のことだった。
病室で荷物をまとめながら、あたしたちは今後のことを話していた。
「やっぱり家を出ていこうと思うねん」
と那智が言った。
「高校行くほど経済的に余裕ないし。住みこみで働けるとこ探した方がええやろ」
たしかにそれは、その通りで。
でもやっぱり切なくて。
あたしからは何も言えず、複雑な気持ちで聞いていると
「――僕に協力させてもらえないかな」
突然、病室のドアが開いた。