亡くなってしまった人の真意は、もうわからない。


だけど、そのデザイナーさんの話が本当なら。



お父さんとおばさんが

最後に願ったものは……



あたしと那智の幸せだったのかもしれない。





「あとは2人でよく話し合えよ」


斗馬くんはそう言って立ち上がると

ベッドにいる那智を、お兄さんのような目で見降ろした。




「しんどかっただろ。今まで」


「……」


「そろそろ自分を許してもいいんじゃねぇかな」




斗馬くんがドアを閉める音が、優しく病室に響いた。



「……那智」


深くうつむいた彼に呼びかけてみる。


返事は、ない。


「那智」