「……座れば?」
そっけなく、那智がイスをすすめてくれる。
あたしはおずおずと腰をおろした。
那智が今、目の前にいる……。
もう会えないと覚悟していたのに
いきなりの再会で、しかも斗馬くんも同じ部屋にいて。
どんな態度をとればいいのかわからなくなった。
斗馬くん……いったい何を、あたしと那智に見せたいんだろう?
すると彼はおもむろに、さっきの袋から大きな箱を取り出した。
「それ……」
胸がドクンと鳴った。
おばさんのウェディングドレスが入っている箱だ。
那智もこわばった表情で、斗馬くんの手元に注目する。
「藍んちの押し入れから見つけたんだ。藍、この箱を開いたこと、ないだろ?」
斗馬くんの言葉にあたしはうなずいた。