きっと那智には、あたしが星名島にいることが直感でわかったんだろう。
あたしは斗馬くんの話を聞きながら、そう思った。
那智が星名島に着いたのは夜だった。
すでに雨が降り始めていた。
山道は足元がすべり、何度も転びそうになった。
そうしているうちに、那智は気づかずに携帯を落としてしまったらしい。
一方で斗馬くんは、何度も那智の携帯を鳴らしていた。
落とした携帯に那智が出るはずもなく、着信音だけが空しく鳴り響いた。
つまりあのとき、あたしが聞いた着信音は、斗馬くんが鳴らしていたもの。
結果的に、斗馬くんがあたしたちを再会させてくれたんだ……。