星名島の山中で発見されたあたしは、A県で最も大きなこの病院までヘリで運ばれたそうだ。
検診にきた医師にそう教えられ、あまりの大事に驚いた。
その後、気をきかせたみんなが病室を出ていくと
あたしと斗馬くんはふたりきりになった。
「1週間くらいで退院できるって。命に別状がなくて、マジでよかった……」
斗馬くんはベッドの横の椅子に座り、落ち着かない様子で何度も両手を擦り合わせた。
「斗馬くんが……みんなを呼んでくれたの?」
「うん」
「あたしを発見したのも?」
「……」
病室が静まり返る。
そして彼は、無言のまま
小さくうなずいた。
「そうだったんだ……ありがとう」
あのとき、あたしの名前を呼んだのは、斗馬くんだったんだ。