……どうしてさっき
あんなことを思ったんだろう。
未来はなくてもいい、なんて。
たとえ一瞬でも、どうして思ってしまったんだろう。
死んじゃ、いけない。
明日がどんな明日でも。
絶対に死んじゃいけないんだ。
「……っ……」
あたしは力をふりしぼり、体を起こそうと踏ん張った。
少しでも動くと、全身に強烈な痛みが走る。
「那智……っ」
生きていて。
お願い。
あたしも、生きるから。
「那智……っ」
今なら言える。
未来を、那智と歩きたいって。
「那智…那智――ッ!!」
喉がつぶれるほど叫びながら、ようやく体が起き上がった。
起き上がったと同時に、景色がぐるんと回転した。