そうかもしれない。
あたしはやっぱり変なのかもしれない。
今に始まったことじゃなく。
お父さんたちが死んだあの日から
あたしは過去から動けないんだ。
「斗馬くん。ごめんなさい」
『……何が?』
「あたし、斗馬くんにいっぱい愛情をもらったのに、あたしからは何ひとつ返せなかった」
『そんなことない。俺は藍がいてくれるだけで、すげぇ幸せなんだよ』
電話ごしに聞こえる声は真剣で、それが彼の本心だと伝わってくる。
だからあたしも、伝えたかった。
「あのね……。今さら言っても遅いけど、あたし、ホントに斗馬くんが好きだったよ。
出逢えてよかった。
斗馬くんの彼女になれた時間は……あたしが生きてきた中で一番、幸せだった」