先生が教えてくれた近道で行くと、迷うことなく灯台にたどり着いた。
近くで見ると案外小さくて、白いコンクリートの部分には相合傘のラクガキがある。
そこにもたれて、しばらく島の景色を見下ろしていた。
風が強いせいだろうか。
潮の匂いが、ここまで運ばれてくる。
そのとき、バッグの中で携帯が震えた。
「……もしもし」
『藍っ!?』
切羽つまった声は、斗馬くんだ。
星名島で斗馬くんの声を聞くのは、なんだか不思議な感じがする。
『何してんだよ、お前。コンビニから戻ったらいねぇし、いくら電話しても出ねぇし』
「あ…ごめん……マナーモードにしてたから気づかなかった」
呆けたあたしと、焦った斗馬くんの口調が、噛み合わない。