山の中腹にある、白亜の灯台。
初めて島を訪れたときも、あたしはあそこに行こうとして、でも山道で迷子になって……
そこで那智に出会ったんだ。
思い出していると、先生が裏庭の方を指さした。
「灯台に行くんやったら、学校の裏の道から登れば舗装されてるし近道ですよ。
最近、雨が多くてね。逆側の山道は地盤がゆるんで危険やから、行かん方がええわよ」
「……ありがとうございます」
親切な先生にあたしは小さく微笑んで、学校をあとにした。
――心が静かだ。
今はもう……何も怖くない。
今日まで泣いて、散々泣いて
人を恨んだり、恨まれたり
走り続けて、疲れきって。
でも最後に、あの頃の那智に会えたから。
もう……。