……息が、止まるかと思った。




それは額に入れて飾られた、一枚の水彩画。



まるで鏡を見ているように
今のあたしとそっくりの女の子が、穏やかに微笑んでいる。



その下にはタイトルが、こう書いてあった。





【時を越えて――。アイ】






「ね、似てるでしょう?
数年前に私が担任していた男の子が描いた絵なんです。

すごく才能があって、将来を有望視されてた子でね。

これは彼が5年生のときに描いた絵なんやけど、すばらしい出来やから、彼が卒業してもずっと飾ってるんですよ」



江住先生はまぶしそうに目を細め、言葉を続けた。




「なんで小学生がこんなすごい絵を描けたのか、不思議ですよね。

もしモデルがいたなら、よっぽど大事な人やったんでしょうね」






那智――……。