「い、行くぞ」


「うん」



田舎育ちでシャイなのか、そそくさと逃げて行く子どもたち。


何だったんだろう……。


彼らが走って行ったのと逆の方向を見ると、小学校の校舎らしきものが見えた。



……あれは、那智の母校だ。


そういえばこの島には何度も来てるのに、あっちには行ったことがなかったな。

そう思ったあたしは、学校を見に行くことにした。




2階建ての小さな小学校にはこれといった塀がなく、中の様子が丸見えだった。


土曜日なので、職員室に先生が数人いるだけだ。


そのとき、ひとりの女性が校門から出てきた。