「それでメグちゃん、俺に相談してきたんだ。
俺も、藍が巻きこまれるのは絶対に嫌だと思った。
だからあいつのそばにいてほしくなかったんだよ」
斗馬くんの話は、まるでドラマの中の出来事みたいで。
あたしはなかなか事実を飲みこむことができない。
「……那智は」
「え?」
「那智はそれ……知ってたの?」
あたしを巻きこむかもしれないことを……
「さぁ。わかんねぇ。
でもメグちゃんが、“那智のことだから何か気づいてるかも”って」
「そう……」
そうだったんだ。
じゃあ、あたしだけ、何も知らなくて。
知らずに守られて。
完全に、バカじゃん。
「…は……」
乾いた弱々しい笑いが、唇からもれた。