「別に、あたしが何を信じててもいいでしょ。……那智には関係ないじゃん」
「おう、そやな」
余裕しゃくしゃく。腹がたつ。
「……てゆか那智こそ、もう絵、描かないの? 最近全然描いてないみたいだけど」
「そやなぁ。気ぃ向いたら描くかもなぁ」
「あ、そうだ」
あたしはふと思い出したことを口にした。
「あたしの隣のクラスに、美術部の部長がいるんだけどね。その子から、那智を美術部に誘ってくれって言われてたんだ」
「……部長?」
「うん。那智のこと、小学生の頃から知ってるみたいだよ。あんたって大きな賞とか獲ったことあるし、けっこう有名人――」
「男か?」
「へ?」
「そいつ、男か?」