斗馬くんにはあの後、きっちりと別れを告げた。


彼は「うん」とも「ダメ」とも言わなかった。


それ以来、学校では別々に行動し、バイトのシフトも彼の方がずらしている。



誰もいない自分の右隣を見て、寂しさを感じることもあった。


孤立には慣れているつもりだったのに、いつしか斗馬くんが隣にいることに慣れていたんだ。


あの笑顔がどれだけあたしを支えてくれていたか、ひとりになって改めてわかった。


だけど同じような想いを……
いや、もっと苦しい想いを斗馬くんにさせてしまったのだから。


弱音なんか吐かずに、がんばらなくちゃ。

そう自分に言い聞かせながら、日々を生きた。




「顔、青いけどイケる?」


新刊を並べていると、湯川くんが話しかけてきた。