「なぁ。お前、今も信じてるんか?」


「何が?」


「瞳の底の風景が、なんちゃらって」


「……」



ベッドに座ったあたしと、その横で頬杖をつく那智。

あたしの方が目線が高いので見降ろすと、那智もこちらを見上げていた。



あのときと同じ。


那智の目に映っているのは、満月の明かりと、そしてあたし。



だけどあの頃よりずっと、その瞳は力を増して。


いつの間にかあたしを追い越した背丈とか

長く伸びた、しなやかな指とか

ふとした時に見える骨格の、無防備な美しさとか。



3年間の成長の分、

あの頃よりもタチが悪い。