「あたしに出逢わなければ、おばさんが死ぬことはなかったんだよね。
那智が独りになることも、なかったのに……」
「変なこと言うな。事故は誰のせいでもないやろ」
「でも。でも、那智」
あたしはずっと胸に秘めてきた懺悔を、とうとう口にした。
「あたし……っ、
死んじゃえって、思ったの。
お父さんたちが事故に遭う前……あのふたりが死ねばいいって、ひどいことを考えて……っ」
許されるわけがない。
たとえ事故が偶然でも。
絶対に。絶対に。
許されないんだ。
「……藍。聞け」
那智はあたしを上から覆い、肩をつかんで、強い瞳で見つめた。
「俺も思ったから」
「え……?」
「俺もあのとき、お前と同じこと思った。
だから、自分だけを責めんな」