那智に、いつか聞いてみたかったことがある。 あたしたちは 恋をしていたのかな? こんなに歪んじゃったけど。 それでもふたりの間にあったのは、恋だったと。 思ってもいいのかな――… 汗ばんだ肌がすっかり乾いても あたしたちはベッドを降りようとしなかった。 那智の胸に頭をのせて、手をつないでいた。 同じアパートの隣の部屋から、夕食を囲む団らんの声がかすかに聞こえた。 「……那智。ごめんね」 突然あやまったあたしの顔を、那智がのぞきこんだ。 「何が?」