「……わかった」
あたしたちの終わりを飾るのに
なんてふさわしいんだろう。
那智。ありがとうね。
あたしにとってその時間は
最高のプレゼントになるよ。
それから2日後。
あたしの風邪はすっかり治り、
絵の制作が始まった。
那智の部屋に絵具の匂いが漂うのは、約1年半ぶり。
それだけで時間が逆戻りしたような錯覚を起こしそうになった。
「画材、捨ててなかったんだね」
「まぁな」
那智がキャンバスの準備をしている間、あたしはあの頃と同じくベッドに腰をおろして待った。
こうしてまた描いてもらう日が来るなんて、思ってなかった。
そしてこれからは
もう二度と、ないんだ。