嘘なんかじゃ、
なかったんだ……。
那智を弟と思おうとしたのも。
斗馬くんを好きになったのも。
けっして嘘じゃない
だけど――
「…ごめんなさい……っ」
メグちゃんの叫び声が消えた。
那智と斗馬くんも、息を呑んだのが気配でわかった。
あたしは水たまりの上に両手をつき、おでこを地面にこすりつけて土下座をした。
「ごめんなさい……っ」
許してください、なんて言えない。
あたしも自分が許せないから。
ごめんなさい、メグちゃん。
ごめんなさい、斗馬くん。
ごめんなさい。
お父さん。
おばさん。
……那智……。
「……やめろよ」
あたしの頭を上げさせようとするのは、斗馬くんだった。