横面を叩かれたあたしは、水たまりの上に倒れこんだ。
「藍っ!」
ふたり分の声が響く。
那智と斗馬くんは、一瞬、顔を見合せて
那智がメグちゃんを押さえ
斗馬くんがあたしに駆け寄った。
「嘘つき!!」
尻もちをついたままのあたしに、金切り声が飛んでくる。
「那智は弟だって、あたしに言ったくせに! 心配することは何もないって言ったくせに!!」
「メグっ」
那智がなだめても、彼女の興奮はおさまる気配がない。
かわいい顔を涙で汚して叫ぶ姿は壮絶だった。
思わず目をそらすと、硬い表情の斗馬くんと目が合った。
――『嘘つき』
メグちゃんの言葉が、斗馬くんの顔に重なって見える。