懐かしさなのか

感謝なのか

愛情なのか


あたしを突き動かすこの感情は

いったい何。



答えなんか見えなくて、ただただ那智の胸にしがみついた。



「……藍」



あたしをそっと離そうとした那智の手が、止まる。


迷いが伝わってくる沈黙。


見上げると、切なそうに目を細める那智の顔があった。



「那――」


名前を呼び終わる前に、彼の体があたしから離れた。


グン、と勢いをつけて後ろに引く上体。




「何してんだよ」



斗馬くんが、那智の後ろから肩をつかんでいた。