吐き気がのどを上がってきて、ベッドから転がるように降りた。
洗面所まで間に合わず、自分の部屋の床に吐いた。
ろくに食事をしていないので胃液しか出なかった。
「……助け…てっ……」
吐く胃液がなくなっても嘔吐が止まらない。
体がガクガクと痙攣する。
頭に酸素が回らず、意識が白くなっていく。
降り続く雨の音。
淡々と読み上げられるニュース。
怖い、怖い
助けて――…!
ほとんど意識をなくしかけたところで、かすかに電子音が鳴っているのを聞いた。
あたしは床を這いつくばり、ランプが光る携帯を取った。
「……っ」
もしもし、の声も出ない。
「……けて……」
助けて。