窓のむこうで雨が降っているのが聞こえる。
今日は何曜日で、世間では何が起こっているんだろう……。
数日ぶりにテレビをつけると、見慣れたキャスターが映った。
『連日の大雨により、A県では土砂崩れの被害が……』
みぞおちを殴られたように、胃の腑から吐き気がこみ上げた。
土砂に埋もれた車の映像が、テレビ画面に映しだされる。
……わかってる。
1年前のお父さんたちの事故とは、まったく関係のないニュースだって。
わかっているのに、高熱におかされた頭は、過去と現在の区別をなくしていった。
「……お父さ……っ」
あたしはうわ言のように叫んだ。
お父さん。おばさん。
突然死んでしまうなんて、思っていなかったんだ。
もしあの日に戻れるのなら
絶対にあんなひどいこと、言わなかったのに。