こんなことに今さら気づくなんて。
気づいても、どうしようもないのに。
あたしは斗馬くんが好き。
それは誰かの代わりとか、寂しさを埋めるためとかじゃない。
あたしがもう一度笑えるようになったのは、彼に出逢ったからだ。
温かい気持ち
幸せな気持ち
切ない気持ち
これが恋なんだって
あたしに教えてくれたのは斗馬くんだった。
……じゃあ、那智は?
那智のことは――…
いつのまにか眠っていたらしく、メールの音で目が覚めた。
『まさか入院とかしてないよな?
本気で心配だから、空メでいいんで返信ください』
今すぐ斗馬くんに頼りそうになる自分をぐっと抑え、返事をせずに携帯を置いた。