あたしと那智が出逢った瞬間から惹かれ合ったのは
同じように孤独を抱えていたからかもしれない。
だけど幼い情熱は
“恋”になる前に
歪んでしまった……。
生まれ育った星名島を離れ、見知らぬこの土地で暮らし始めた那智。
いくら友達に囲まれていても、きっと本心では寂しかったはず。
そう考えれば、那智の異常なほどの支配欲も納得できた。
あたしに近づく男がいれば、冷酷に痛めつけたのも。
絵を描くのは、“目の前のものを閉じ込めるため”だと言ったのも。
すべてはきっと、孤独を恐れていたからなんだ。
あたしには那智しかいなかったように
那智にとっても、あたししかいなかったんだ。