その夜中に熱が出て、翌日からの学校もずっと休んでいる。
心配した斗馬くんが電話やメールをくれるけど、どうしても返事ができなかった。
きっと今、斗馬くんの優しさに触れたら、あたしはガマンできずに泣いてしまう。
理由を説明できない涙を、彼に拭いてもらうわけにはいかないから。
ひとりきりで寝こんでいると、住み慣れたはずの部屋が無性に広く感じた。
ひとりぼっち。
胸の底で空っ風が吹いているような、孤独感。
もしかしたら那智もずっと孤独だったんだろうか。
熱でぼんやりする頭で、そう思った。
幼いころ両親が離婚して、母親とふたり暮らしだった那智。
絵の才能で周囲にもてはやされ、大人たちから商品扱いされることもあっただろう。