きっと斗馬くんはわかっていたと思う。
公園でのあたしと那智のやり取りを見ていたはずだから。
“あたしが好きだった人”と
“弟であるはずの那智”が
同じだと彼はわかってしまったはず。
だけど正直に打ち明けることができなかった。
あたしと那智の過去に、何があったのか。
お父さんやおばさんを巻きこんだ、あの許されない過去。
斗馬くんに知られるのが怖かったんだ。
しばらく黙っていると、あたしは急に寒気がしてきて、咳こんだ。
「風邪か?」
心配そうに背中をさすってくれる斗馬くん。
「たぶん。ごめん」
「最近は夜になると涼しいもんな。帰るか」
「うん」