テニスコートや噴水の脇を抜ける。


那智の姿は見当たらない。


自分の荒い呼吸と足音が、やけに耳障りに感じる。



「――藍っ!」



後方から斗馬くんの声が追いついてきたとき。


あたしの目が、ついにその光景をとらえた。



昼間なら子どもが楽しく遊んでいるはずの、遊具が集まったスペース。


不自然に輪になった4人の男と

その真ん中で地面に倒れこんだ

那智の姿を。



「やめて――!!」



あたしの絶叫が夜の公園に響いた。



男たちがふり返る。


一拍遅れ、那智が顔を上げる。



――視線が合った。



驚愕して見開いた瞳が、ハッキリとあたしを映している。



「那智ッ!!」



あたしはためらいもなく、那智の元に駆け寄った。