「斗馬くんは……優しいね」


「物足りない?」



あたしの言い方に他意を感じたのか、斗馬くんがたずねた。



「違うよ、そんな――」


「あ、もしかして藍ってMだったりして」



おどけたように言われ、あたしは笑った。


「それも違う」




……斗馬くんが好き。


心も体も大切にしてもらって、温かくて、心地よくて。


だからこそ……後ろめたいんだ。



那智の部屋であの絵を見つけてしまったときから

ずっと頭を離れない。


那智はあいかわらず外泊が多く、家にいてもあたしと顔を合わそうともしないけれど。



「斗馬くん……」



あたしは幸せになってもいいの?


斗馬くんを好きになるほど、この疑問はふくらんでいく。