思わず体がよろけて、反射的に近くの物に手を伸ばす。
が、そこあったのはピアノの鍵盤。
大きな不協和音が鳴り響き、あたしたちは驚いて唇を離した。
「……わりぃ」
真っ赤になった斗馬くんが、右手をサッと下げた。
「あぁぁ~……マジで猿だな。
俺、エロくてごめん」
「……ううん」
あたしは斗馬くんが座っているイスの端に、肩を並べるように座った。
「あやまることじゃ…ないし」
「や、ダメダメ。昼間の学校でエロいことするとか、俺、最悪。
藍はそんなことしていい相手じゃねぇんだよ」
……あたしたちは初体験のあとも、数回、体を合わせた。
斗馬くんはいつも、あたしの体を宝物みたいに大切に扱ってくれる。
“愛情”をそのまま形にしたような抱き方で。