暦の上では秋だけど、まだ汗ばむ暑さの9月。
昼休憩のふたりきりの音楽室で、斗馬くんがピアノを弾いて聴かせてくれた。
「すごーい!」
演奏が終わり、パチパチと拍手を贈るあたし。
「ピアノ弾ける男の人、初めて見たよ」
「腕前は微妙だけどなー。ガキのころ姉ちゃんにくっついて、教室通ってただけだし」
「でも、ホントに上手で感動したよ?」
鍵盤の上にそえられた、長い指に見惚れていると
ふっと指がピアノから離れ、あたしの耳元に移った。
あたしは誘われるまま体を屈めて、下からのキスを受け入れた。
唇が熱を持ち始める。
さっきまで音色を奏でていた指が、制服の上からあたしの胸に触れた。