この日のテレくささは尋常じゃなかったけど
唯一の救いは、湯川くんと下里さんもめでたくカップルになっていたこと。
あの2人がずっとイチャついていたおかげで、あたしたちが冷やかしのターゲットにならずにすんだ。
お給料を受け取り、お世話になったスタッフさんたちにあいさつして、ホテルを後にした。
短い期間だったけど、あたしを大きく変えてくれた場所……
「また来ような。次は客で」
まるで頭の中を読んだように、あたしが考えていたのと同じことを、斗馬くんは言ってくれた。
「うん……」
電車で移動するにつれ、天気は下り坂だった。
近くの駅についたのは昼過ぎ。
ここからあたしは各停、斗馬くんは快速に乗り換えだ。