「そいつが、藍の初恋?」


「……わかんない」



あまりにも幼すぎたあの時間。

恋だったのかどうかさえ、今では分からなくなってしまった。



ただあの頃は、那智のすべてを受け入れたくて。

あたしのすべてを支配してほしくて。



あんなにも凶暴で

純粋な欲望を

この先、抱くことはきっとない。




「じゃあ……俺は?
俺のことは好き?」



あたしは目を丸くして、斗馬くんを見上げた。



「今ここにいる藍はもう、その頃の藍じゃねぇよ。

俺や湯川たちと一緒にバイトして、笑って、遊んで……

ちゃんと今、ここで生きてる」


「……」



あたしは、今

ここで――…?