ずっと誰にも言えなかった。

言えるわけがなかった。


今、斗馬くんに打ち明けることが、正しいかどうかはわからない。


でも何もかもを隠すのは、違うと思ったんだ。


少しでも向き合わなくちゃ、きっと進めないから。



「……まだ、全部は話せないけど、それでもいい……?」


「もちろん」



斗馬くんが近くのベッドに座ったので、あたしもその横に腰かけた。




「……出逢ったのは、あたしが12歳のときだったの。

むこうは11歳で、すごくキレイな絵を描く子だった。

きっと彼の瞳には、キレイな景色がいっぱい詰まってるんだって、子供のあたしは本気で思ってた……」



あぁ、と斗馬くんが小さく相づちを打つ。

きっとあの本のことを思い出したんだろう。