「と、斗馬くん!
普通にちゃんと見てよ!」
変な日本語でお願いすると、やっと彼の顔がこちらに向いた。
そして、ジッと注がれる視線。
あ……
やっぱり恥ずかしかったかも。
あたし、胸ないし……。
すると斗馬くんは、口元を手で押さえて、ぽつり。
「カワイイ。……最高っす」
耳たぶが燃えそうに熱くなった。
「ちょっと、そこの2人!
ビーチはラブシーンお断り!」
湯川くんに冷やかされ、斗馬くんの顔が火を吹いた。
「変なこと言うんじゃねーよ」
怒鳴る斗馬くんから、ゲラゲラ笑って逃げていく湯川くんと下里さん。
ふたりが遠ざかると、斗馬くんは首の後ろを掻きながら、困ったように笑った。
「バレバレ、だな」
「……うん」
“バレバレ”
何が? とは、聞かなくても
もう分かる。
胸が、くすぐったい……。