「バカ言ってないで早く行こ」
手を引かれて更衣室を出ると、そこは真夏の海。
白い砂が太陽を跳ね返し、まぶしさに目を細める。
砂浜では先に着替えた男子ふたりが、ビーチパラソルを立てていた。
うわぁ……。
カッコイイ。
なんて、上半身裸の斗馬くんを見て思っちゃうあたしは、変態なのかな。
広い肩幅や、たくましい腕。
普段よりもっと男らしく見える。
「あっ! こっち、こっち」
あたしたちに気づいた湯川くんが手を振った。
あたしと下里さんは、熱い砂の上をよろけながら歩いていく。
「姫、水着いいねぇ~っ。超カワイイ! 超似合ってる!
あ、下里もいいよ、うん」
おまけのように付け加えた湯川くんに、下里さんがバシッと背中を叩く。
「痛ぇっ」
「バーカ」
何だかんだで仲良しなふたり。
もしかしたら、かなりイイカンジなのかもしれない。