この夜は胸がドキドキして、部屋に戻ってもなかなか寝つけなかった。
翌朝、食堂で顔を合わすと、またドキドキが復活した。
逃げ出したいような、でも、
今すぐ彼に駆け寄りたいような。
味わったことのない気持ちに、あたしは翻弄されてしまう。
どう接すればいいのかわからないから、今まで通りにふるまうことにした。
斗馬くんもそうしてくれたし、
周囲もあたしたちの変化に気づかなかったみたいだ。
そうして日々は忙しく過ぎ、
バイト最終日を無事に終えた。
「じゃ、そろそろ話してもらおっかな」
「へ?」
いつものように布団を敷いた下里さんが、改まった口調で言った。
「斗馬くんと進展あったでしょ」
「バレてたの!?」
驚きのあまり、あっさり認めてしまうあたし。