「はぁ~? それは君の携帯ナンバーでしょうが」
「あ、バレた?」
マネージャーに突っこまれ、肩をすくめる斗馬くん。
「ま、いいじゃん。どうせ連絡なんか必要ないっての」
しれっとマネージャーを追い払う彼は、どう見てもあたしをかばってくれているとしか思えなかった。
なんで……?
もしかして、斗馬くん……
「知ってたの?」
夕食のあと、斗馬くんをホテルの裏庭に呼び出してたずねた。
「あたしに親がいないこと」
「あー………うん」
波の音と、斗馬くんの返事が重なった。
潮が満ちているせいか、それとも周りが静かなせいか、昼間より海が近く感じる。