「でも、……けっこう楽しいよね。このバイト」
ドライヤーを止めてつぶやいたあたしに、下里さんも「うん、まぁ」とニッコリ。
「湯川もいるしねぇ」
「えっ? 下里さん、湯川くんのこと好きなの?」
ビックリして尋ねると、彼女の頬がゆるんだ。
……そっか。
だからこのバイトに参加することにしたんだ。
納得していると、下里さんが急にガバッと体を起こした。
「藍ちゃんは斗馬くんと、どう?」
そう来たか。
返事に困ったあたしは、まだ少し濡れている髪を指でいじる。
「あっちが好きなのは一目瞭然じゃん。付き合っちゃえばいいのに」
「や、でも」
「他に好きな男でもいる?」
「……いない」
と、思う。