ふたりで落ちたはずの恋なのに

終わってみれば
ひとりぼっちだった。


真っ暗な深い穴の底で
ずっと、うずくまっていた。



自分の力で穴から這いあがれない人間は、二度と恋なんかするもんじゃない。


そう心に刻みこんで過ごした
この一年間。



だけどもし、もう一度

光の下を歩けるのなら――…









斗馬くんの親戚が経営するホテルは、海が見える3階建てのアットホームな宿だった。


芝生の敷地にヤシの木が植えられ、その間からは白砂のビーチが見える。


あたしと斗馬くん、そして湯川くんと下里さんの4人は、夏休みのうちの約3週間をここで働かせてもらうことになった。