「え…っと…なんで? 桃崎さん、俺の誕生日……」
相当驚いたのか、ちゃんとしゃべれていない斗馬くん。
あたしは彼の手の中にプレゼントを押しつけた。
「あのっ、たいした物じゃないから期待しないでね。
お誕生日だって今日知ったから、バイトの前にあわてて買ったし…っ」
「じゃあ、もしかしてバイト遅刻したのって、このため?」
「あっ」
自らバラしちゃうなんて不覚。
顔がますます熱くなり、深くうつむいて黙った。
「そっか……ありがとう」
斗馬くんは放心したようにつぶやき、プレゼントを大事そうに抱える。
そして、
「やべぇー……嬉しすぎて今日寝られねぇ、絶対」
眉をハの字に下げて、ため息のような声で言った。