めんどうな清掃も、ふたりでやれば早い。
20分ほどで終わり、帰りは斗馬くんが駅まで自転車で送ってくれた。
「お疲れさん。気をつけて帰れよ」
「うん、斗馬くんも。
今日はホントにありがとね」
あたしを降ろした斗馬くんは、ハンドルを切って自転車の向きを変える。
そしてもう一度ふり返り、右手を軽く上げた。
「じゃ、おやす……」
おやすみと言いかけて、彼は言葉をなくした。
涼しげな奥二重の目が、丸く開いている。
「……斗馬くん。
お誕生日、おめでとう」
「…え……?」
たぶん、あたしの顔は今、ものすごく赤いだろう。
勇気をふり絞って鞄から出したプレゼントを
斗馬くんに差し出しているのだから。