しかも、せっかくの16歳の誕生日なのに、居残りに付き合ってくれて……。
「……ありがとう」
「全然いいよ」
「ううん、ホントにありがとう」
深く頭を下げると、斗馬くんはポリポリとこめかみを掻いた。
「……そんなに感謝されると、逆に恐縮するなぁ。
俺、下心ありだし」
「え?」
「つまり……桃崎さんにちょっとでもイイところ見せてやろう、とか計算してたりして」
……なんて、バカ正直な人なんだろう。
そんなことバラしたら作戦失敗じゃん。
全然、意味ないじゃん。
でもここで隠せずに言っちゃうのが
きっと斗馬くんの人柄なんだ。
「さっ。パッパと片付けて帰ろうぜ!」
テレ隠しのように明るく言って、腕まくりをする斗馬くん。
「うん」
あたしは小さな笑みをこぼしてうなずいた。