ドキン、と胸が鳴る。
あせってボールを投げ返すと、手元が狂って変な方向に飛んでしまった。
だけど斗馬くんは長い腕をサッと伸ばし、軽々キャッチ。
「ありがと」
少しはにかんで、コートに戻って行く斗馬くん。
……告白の後も、彼は友達として接してくれている。
それは嬉しくもあり、ホッとしたことでもあり、でも…どうすればいいのかわからなくなる……。
「やっぱり放課後がチャンスなんじゃない?」
体育座りのひざをギュッと抱えていると
あたしの近くに座ったふたり組の女子の、ヒソヒソ声が聞こえてきた。
「うん……でも今日もバイトみたいだから厳しいかも」
その子たちの視線は、明らかに斗馬くんに向いている。